今日も世界は愛で満ちてるというのに私の世界に愛は無い~愛を知らない私は愛を乞う

 吉川の方を見ると、真っ赤な顔をしたまま震えているだけで、何もしてくる様子は無い。しかし塚田は最後のあがきとばかりに、酒賀部長に弁明していた。

「部長、俺知らなかったんですよ。こんな……こんな騒ぎを起こしてすみません」

 これだけの騒ぎを起こし、ハッキリ言って社会人としてどうなの?という状態だ。皆が白い目で塚田や吉川を見つめていた。そんな中、酒賀部長はこの二人の処分について考えている様子だったが、そこに年配の男性が数人現れた。

「そこで何をしている?」

 低い声がフロアーに響き、言葉を発した男性を見た皆の顔が、緊張で引きつった。

「社長、お帰りですか?申し訳ありません。少々トラブルがありまして……」

 そう言ったのは酒賀部長だった。

「少々?」

 周りを見渡した社長は眉間に皺を寄せた。

「吉川くんだったね。私は君が登場した頃から見ていたんだがね」

 まさかの社長の発言に吉川と塚田は凍り付いた。

「これは違っ……違うんです。全ては……そう……こいつが、歩夢が悪いんです。それにこいつも」

 私と歩ちゃんを指さしながら塚田は青かった顔を紅潮させていく。追い詰められて興奮しているのだろう。

 バカな奴だ。




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