冷血悪魔な社長は愛しの契約妻を誰にも譲らない
 結局、俺のなにが不満で離れていったのか今もわからないままでいる。

 あの家族が原因だろうかと思いはしたが、彼女に嫌われたくないがためにずっと秘密にしていたから違うだろう。

 俺のそばにいないことが幸せなら、願いを叶えるべきだと別れを受け入れたが、あれは本当に正しい選択だっただろうか。

 あの時なにかがひとつ違えば、こんなふうにこじれていなかったかもしれない。

 円香が俺の胸に顔を押しつけて、ほうっと息を吐いた。

 その甘い吐息もすべてすくい取りたい気持ちになる。

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