幼馴染はお医者さん
◯愁サイド◯
俺が高校1年生のとき
きりは10歳だった
きりの家族と俺の家族で
近くの山にキャンプに行った。
なるべくきりに
焼肉を焼いてる煙を吸わないように
遠めで焼いていたにもかかわらず
喘息発作がでて
すぐに病院に運ばれた。
それからしばらく入院になり
家に帰ってこなかった。
1週間に1度くらいはお見舞いに行ったけど
元気が全くなく
ほとんど泣いていた。
「キャンプにも行けない」
「運動もできない」
「なにも楽しくない」
ずっと泣いていた
そんなきりの姿をみて
俺は医者になって
きりのような患者さんを救いたい
きりを泣かせたくない
そう思い医者になることを決めた。
必死に勉強し
医学部に現役合格
研修医を経て
呼吸器内科の医師になった
きりは俺にとっては特別で
普通の患者さんとは違う
小さい時から
誰にでも優しくて
自分の意思を強く持っている
人に流されないところが俺は大好きだった
医師になってから
忙しくてなかなかきりに会う機会も少なくなったが
病気もしっかり戦ってると思っていたし
多少は良くなっていると思っていた
だが久しぶりに会ったきりは
病気から逃げ戦うのを諦めていた。
自分の意思を強く持っているのは
変わらない
悪くいうと頑固なままだった
色々と試行錯誤しながら
きりに接してきたが
医者の俺は嫌いとはっきり言われてしまった
幼馴染に戻って欲しい。
そこまで言うなら...
...ピンポーン
「はい」
「愁くん!きりが!きりが!」
きりのお母さんが凄い勢いで家を訪ねてきた
家に帰ってきて30分も経たない
「おばさん、落ち着いて。
どうしたの?」
「きりが泣いて発作が出て吸入吸っても良くならない。意識がなくて救急車呼んだんだけど...愁くんいたらと思って」
俺は家を飛び出して
きりの部屋に急いで向かった