幼馴染はお医者さん
12.愁くんち
それからすぐに愁くんは
隣の実家に車をとりに行って私を迎えにきてくれた
荷物を持って車の助手席に座った
「どこ行きたいの?」
「海」
「海?」
驚いた顔で私をみてきた
「海なんてこっから2時間はかかる」
「知ってる」
「まだ退院してすぐだしもう少し落ち着いてからにしよう」
「...」
どうしても行きたいから薬飲みに戻ったのに
海に行けないなら1人でゆっくり過ごしたい
無言で車を降りた
「きり」
「...」
当たり前かのように私の後を追ってくる
少し駆け足で逃げてもついてくる
もっとスピードあげて逃げる
「きり、走るな」
「...」
捕まったら1人にさせてくれない
走ってるつもりはないけど追ってくる愁くんから
逃げようとすると自然と速くなる
「きり!!!」
「...はぁ...はぁ」
「病院にもどりたいのか!」
20メートルくらい離れた位置から
ものすごい大きい声で怒鳴られた
その声にびっくりして足を止めた
戻りたいわけがない...
「...はぁ...はぁ」
息が苦しい
「走るな、こっちこい」
「...はぁ...はぁ
海に行けないなら愁くんといたくない
1人になりたい...はぁ...はぁ
からお願い、ついてこないで」
「今日はきりのそばにいるって決めてる」
「...はぁ...はぁ
なんで。」
「なんとなく?」
「...はぁ...はぁ」
「軽く発作出てる
おいで、吸入あるから」
「...はぁ...いらない」
「車乗って」
愁くんは自分の車に向かって歩いていった
私は車と反対に向かって歩く
吸入は自分でも持ってる
しんどくなったら自分で使う
「おい!」
振り向いくと愁くんが
反対に歩く私に気づいて追いかけてきて捕まった
「また病院に戻るのか?って
せっかく俺がいるんだからなんとかして
発作おさめる努力しよう」
「...いい
うわぁ」
その瞬間
私の身体が宙に浮いた
お姫様抱っこ...