幼馴染はお医者さん
「おいしい、やっぱ最高だ、おばさんのご飯」
「そう?嬉しい、ありがとう」
お母さんの料理は美味しい...
だけどやっぱり喉が通らない
「...ご馳走様」
「もういらないの?」
お母さんが心配そうに聞いてきた
「うん」
ちらっと愁くんをみたら目を細めて私を見ていて目が合った
すぐ目を逸らして席を立った
逃げるようにして部屋に戻った
追いかけるように誰かが階段を上がってくる
「きり、入るよ」
愁くんだ
「...」
返事をしていないのに
ドアを勝手に開けて入ってきた
「飯、全然食ってないよ」
「お腹空いてない」
「昼いっぱい食べたの?」
そういうことにしておこう
「うん」
「わかった...じゃあ薬だけ飲んで」
そうだ、朝昼晩、心臓の薬も増えた
「もってくるね」
「あとで下行くからその時飲む」
「今、飲みな!
あっあと今日から俺ここ泊まるから」
え、え、え?
今なんて言った?
「どこに?」
「この家に!」
「なんで?」
「きりが心配だから」
「いいよ、病院から遠いでしょ
自分の家あるんだから帰りなよ」
「内藤先生と約束したからさ
きりの異変に気づけるようにするって」
「だからって一緒に住む必要ないでしょ」
「もう決めたから
おばさんおじさんにも許可を得たし」
「...勝手に」
「薬、持ってくるよ」
愁くんが下に降りた
勝手に決めて勝手に行動して
意味がわからない
退院したのにそこまで管理されるの
担当医の愁くんがいたら一向に気が休まらない
1人になりたい
軽く羽織って散歩に行くことにした
...ガチャン
家のドアってなんでこんなうるさいんだろう
家を出たのがすぐバレる
パタパタと私の後を追う足音が聞こえる
「きり」
「...」
「きり」
無視して歩いてたら愁くんに腕を掴まれた
「どこ行くの?」
「どこでもいいでしょ」
「ほらね、そうなるでしょ
だから俺は一緒にきりと住む」
「...」
「どこにいくの?
バイクだそうか?」
「ねぇ、わからない?
1人になりたい、だから外に出たの」
「わかるよ?でも薬が先だよね?」
「白衣着てないでしょ、ほっといて」
今は医者の愁くんじゃない
「じゃ家にあるけど来てきたらいい?」
「もうほんとめんどくさい」
「ははっ今知ったの?俺はめんどくさいよ」
「...」
「薬飲んだら行きたいところ連れてってあげる
一旦戻って薬飲もう」
海に行きたい
でもここからだと1人で行ける距離じゃない
「明日、仕事じゃないの?」
「きりには関係ない」
「は?なにそれ」
愁くんが仕事だったら頼むの申し訳ないなぁと思って
聞いたのになんで関係ないとかいうの
「なっ?そんなこと言われたら
いやだろ?
ほっとけとか、関係ないとか
言われたらなにそれってなるだろ?
俺も一緒、きりに言われたら嫌だしほっとけないし
心配だからそんなこと言わないで、わかった?」
、、、論破された
確かに愁くんにほっといてって結構
言ってる気がする
「とりあえず薬だな
取りに戻ろ」
「本当にうちに住むの?」
薬を取りに戻る帰り道歩きながら聞いた
「嫌だ?」
「嫌ってか...病院から遠いから」
「なに?俺の心配してくれてんの?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「なら俺の家に住む?」
「えっ?」
「俺の家にきりがきてくれたら俺は病院から近くて助かるけど...おじさん許してくれないかな」
「なんでお父さん?」
「いや?」
なに?お父さんと何かあるの?
家について愁くんに薬と水を渡されて飲んだ
「口開けて」
「ん...」
「おっけい、よく飲めた」
そういって愁くんは私の頭を撫でた
え、、、、
え、、、、
やばい、胸がドキドキいっている
また発作?
違う
なんだ
変な感じ
「ねぇおじさん、しばらく俺がここに泊まるんじゃなくてきりをしばらく俺の家に泊まるのはダメ?」
「えっ、なんで?」
「きりが病院から遠くなるって心配してくれてるからさ」
「きりは?どっちがいいの?」
「なにが?」
「愁くんの家にしばらく泊まるのか
愁くんがうちに泊まるのか」
なんで2択なわけ?
必ず愁くんは私といるの?
「別に...どっちでも...」
「どっちでもいいって、おじさん!」
「なら2人できめて好きな方にしろ」
「ありがとう」
愁くん、なんだか嬉しそう
「きり、バイク冷えるとよくないから
車でいこう俺、実家に停めてるし取ってくるわ」
「...うん」
何かよくわからないけど
話がトントン拍子に進んでる気がする
私は愁くんの家に住む?
えっ同棲ってこと?