第一幕、御三家の桜姫
「ナメてんの? 女子高生よ? 一六歳よ? お金払ってでも遊びたいって思うおやじがいるってのに何この恰好?」
「すいません発言に犯罪臭がして説得力が……」
「口答えすんじゃないわよ。短い寿命を枯らすために使ってどーすんのよ。アタシがいる限りこんな格好許さないわ。総ちゃんは今日限りって言ったけどアタシが今日教えたことを明日からも忠実に守りなさい。まずこのサイズの合わないシャツを捨てる!」
「あ!」
言いながら、よしりんさんは傍にあった私のシャツを力任せに引き裂いた。ちょっと待って!
「そ、それなくなったら着替えが!」
「こんなものに着替えても裸の王様と大差ないわよ。笑いの的よ! 心配しなくてもBCCが終わるまでには新しい制服を調達しておくわ。制服のスカートだって腰で引っ掛けるものじゃないのよ、覚えておきなさい」
口ではそういうものの、その表情は「マジでナメてんじゃねぇぞ小娘コラァ」と言っている。バンバンバン、とスカートを掲げて布団のように叩かれ、それに合わせるようにコクコク頷いた。
「長さだって違うのよ。貴女の足に似合うスカートの長さがあるのよ。こんな細いか太いかもよく分からないような絶妙にダサい長さで履くなんて馬鹿なの?」
この人……。間違いなく松隆くんの知り合いだ。満足げに頷いたよしりんさんは洗面台を指さす。
「じゃあコンタクトに変えなさい。眼鏡は似合ってるけど今回のコンセプトには不要よ。素材はいいもの持ってるんだからその二重の目を存分に生かしなさい」
「……はい」
もう私のメンタルはボロボロだ。さめざめと心で泣きながら眼鏡を外してコンタクトをつける。眼鏡をかけていない自分の顔をとっくり見るのは久しぶりだった。あまり見ていたくなくて、すぐに洗面台前を離れる。
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