白雪姫は寵愛されている【完】
「あの時は髪も長くなかったからな。…見つけるのに苦労した」
確かに、ミディアムでしたけど…。でも、その話と私が拉致(?)されたのとは、どういう関係があるんでしょうか…?
チラッ、
どうやら話は粗方終わったようだ。
ごくり、と生唾を飲み込む。
今なら話せそう…と。
「あ、あの……」
「なんだ?」
「そ…それで、私はどうして…こ、ここにいるのですか…?」
「………傘を返す為」
「そ…それでしたら、今返してもらいましたので…」
「…なんだ?俺と居るのが不満なのか?」
「…そ、そんなこと無いです…ただ、その…、」
もう私の役目は終わったのでは…?
それなら…お家に帰していただけませんか…?
先輩が小さく溜息をついた。
「──────そんな事の為に態々三年半も探すかよ」
せ…ん、ぱい?
車が止まった。
ドアを開ける前に私のシートベルトを外すとドアを開ける。
引っ張られる腕に成す術もないまま、またも先輩に抱えられる形に。
「せ、んぱ…」
「「「総長!お疲れ様でーす!!!」」」
──────ビクッ!
大きな声に吃驚して、先輩の制服を握った。
あんな大きな声は初めて聴いた。
「…お前等、黙ってろ」
低い声と同時に静かになった。
その先輩にも吃驚してまた制服を強く握った。