白雪姫は寵愛されている【完】
言い争いになった訳は、人によって様々で、朱雀と麒麟の間に何があったのかは誰も分かっていない。
クラスの人達が言うには、「麒麟の奴等が卑怯な真似をして朱雀と喧嘩をした」や「朱雀が麒麟を裏切って別の族と同盟を組んだから」など様々。
…仁くん達は知っているんだろうけど。
私にはきっと、教えてくれないんだと思う。
仲間…外れにされているみたい。
でも私は───…、朱雀のメンバーじゃない。
ちょっとだけ寂しいけど。全部、事実。
……私、ここに居ていいのかな?
「千雪さん、その本は左からは捲れませんよ」
「え…あっ、」
顔を上げると、昴くんが苦笑いしている。
右開きの本を必死に左側に捲ってた。
「すみません。僕も一緒に読みたいのですが…」
「え?…い、いえ!大丈夫です!…一人は慣れてますから」
ずっとそうやってきたんだから。
今更一人でも何ともないんです。
───────ただ、
「…私足手まといじゃないですか?」
それだけが気がかり。
「そんなことありません…まあ、僕が言うと信じられないと思いますが」
最初の頃、昴くんに言われた言葉。
「…いえ、事実ですから」
実際その通りで、迷惑ばっかりかけてると思う。
昴くんはパソコンを閉じると、私の隣に座った。
「あの時は…すみませんでした。いくら女性嫌いだったとはいえ、千雪さんに嫌な思いをさせてしまった事には変わりありません」
「そ、そんな!私は大丈夫ですから!」
頭を下げた昴くんに頭を上げるように言う。