白雪姫は寵愛されている【完】
───────颯太くんに腕を引かれて外に出る。
段々と小さくなる言い争い。
行きよりも強く感じる視線。
…ズキンと痛む私の心。
「………颯太くん」
私の言葉に立ち止まった。
「ん?どうした白藤?」
振り替える颯太くんはいつも通り。
優しく声を掛けてくれる。
っ……、
「麒麟って…?」
颯太くんの表情が強張った。
「あー…あー、なんでもねぇって!白藤は何も心配しなくていいぞ!大丈夫大丈夫」
「でも私…の事探してるって…」
「あれはーそのー…あれだ!白藤じゃないドウセードウメーって奴!」
「…でも、あの人たちは、」
私の事を見て”白藤千雪”、そう言った。
同姓同名の別の人ならそうは言わないはず。
「そ、れは~…えっと…」
「…私…のせいで…迷惑…かけてるんだよね…?」
泣いちゃ駄目。駄目だよ。
震える声と溜まる涙。落ちないようにグッと我慢する。
「違う!!」
びくっ!
颯太くんが私の頬を包む。
前髪の隙間から颯太くんと目が合う。
「白藤は何も悪くない。…俺達が白藤と居たから」
「…颯太くん…?」
言葉に詰まる颯太くんは何かを考えているようだった。
「……本当は口止めされてたんだけど。少しだけ話す。仁さん達にはナイショな?」
そう言って私の涙を拭ってくれた。