白雪姫は寵愛されている【完】
「あれ…白雪?まだ起きてたの?」
「さ、朔也くん?おかえりなさい。用事は済んだの?」
「いや。忘れ物を取りに来たんだ。えっと…」
「も、もしかして、」
携帯を見せると、朔也くんは頷いた。
それを受け取り中身を見る。
「ありがとう」
「会社の携帯…?」
朔也くんは笑顔で頷く。
「で、でも今まで二台持ってたなんて知らなかったなぁ…」
「ん?ああそうだね。家では出したこと無かったから。…また戻るね。白雪は早く寝なさい。明日も学校だろう?」
顔に手が触れる。
─────────ビクッ!
思わず顔を逸らす。
「この…時間でも会社ってやってるんだ…ね?」
朔也くんは手をジッと見る。
私が顔を逸らしたからだ。
「…ああ。そうだよ」
「今まで…そんな事…、」
「──────白雪」
…っっ!
頬に触れる手と私を見下ろす朔也くん。
裾をぎゅっと握る。
「そんな事聞いてどうするの?」
ドクン…、ドクン…、
「さ、朔也くんが、いないと寂しい…からです」
眉が歪んだ笑顔。
前髪が長くて良かったと思う。
「フッ…フフ。そっか。白雪は俺が居ないと、寂しいんだ?」
笑い声と柔らかな声。
俯く私の頭を撫でる。
ピピピ、
出て行った時と同じ音がした。
「もう行かないと。すぐ帰ってくるから俺が帰って来るまで我慢して」
ちゅ、と頭に触れた唇。
「い、いってらっしゃい…、」
リビングのドアを開けようとした朔也くんが一瞬だけ止まり、振り返る。その目は鋭く私を見ていた。見せて来たのはさっきの携帯電話。
「中、見た?」
────…ッ、
「見てないよ」
笑顔で言った。