お邪魔虫にハッピーエンド

お邪魔虫の大失恋





 なんとか編入試験をクリアして、私は家族より一足先にアメリカを発った。

 本当なら夏休み後の二学期に合わせて登校できる予定だったんだけど……。
 運悪くフライトが一便欠航した影響で、日本に到着したのはお昼前だった。

 登校初日には間に合わなかったけど、このまま学校に向かえば下校中の景にばったり会えるかも。
 その日は部活もないということをユキから聞いていたので、私は意を決して校門前で待ち伏せていた。

「……ねえ、あの子誰だろう?」
「私服だけど、他校生かな」
「ていうか、めちゃくちゃ可愛くない!?」
「おい見ろよあの子、もしかして誰かの彼女か!?」

 少しずつ正門から生徒たちが出てくる。
 私服で来てしまった私はかなり目立っていた。前までの私なら、周囲の視線が気になって逃げていたかもしれない。

 でも、今は違う。
 もちろん人前に出るのは相変わらず落ち着かないけど、耐えられるようになった。

 そして何よりも、この時は景との再会に胸を躍らせていたから、他のことが耳に入らなかった。


「あ……」

 握りしめたスマホから、音がした。
 見ると、ユキからメッセージが。

《桜葉、いま正門に行った!》

 その短い文字に心臓が跳ね上がった。
 もうすぐで景がここに現れる。

 口から心臓が飛び出そうってこういうことを言うんだと、胸に手を当てながら考える。

 どんなに深呼吸を繰り返しても鼓動は早くなる一方で、まだ景に会ってもいないのに頭が沸騰しそうだった。

(もう、そろそろで……)

 私が様子を確認しようと、門の影から身を乗り出したときだった。

(――……あっ、)

 それは、ほんの一瞬。
 時間の流れがゆっくりと感じられる瞬間のこと。

 帰路につく多くの生徒たちで溢れかえる景色の中に、景の姿がはっきりと見えた。

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