お邪魔虫にハッピーエンド
騒ぎの新学期
バレンタインデーのあと、景から白田さんと付き合うことになったと報告された。
どんな顔をして「おめでとう」と言ったかは覚えていないけど、景は本当に嬉しそうだった。
……というか私は、いったいどの口でおめでとうって言っているんだか。
そして短い春休みの間に、二人は一度だけデートをしたらしい。
部活もあるので休日頻繁には会ったりできなかったみたいだけど、でも、順調そうだった。
「明日から新学期だけど、大丈夫そ?」
「うん……いつまでもひどい顔してられないし」
春休み最終日。
私は駅前のカフェでユキとお茶をしていた。
「確かに、バレンタインデーの次の日とか、だいぶひどい顔してたね。それに比べると綺麗な顔してるわ」
「ありがとう」
景と白田さんが付き合い始めたということは、ユキも知っている。
まだ学校には知れ渡っていないみたいだけど、親友のユキにはバレンタインデー当日に失恋したと伝えた。
「…………ごめん、杏」
「え、なにが?」
「あたしさ、ビデオ通話とかで、いまの杏子ならいけるって焚き付けたりしてたでしょ。まさか桜葉が白田さんと付き合うなんて思ってもなかったから」
「ユキが謝ることないよ。というか、誰のせいとかでもないから。選ぶのは景なんだし」
それでもユキは責任を感じているような顔でカフェラテに口を付けていた。
私に気をつかってくれてるんだろうけど、ユキが謝る理由は何一つない。
「にしても白田さんか。正直あんまり知らないんだよね。図書委員だったってことくらいしか」
「私も、そこまで知らないよ。たまに嫌な牽制で話したくらいで」
「あー、牽制ね。前の杏を知ってるあたしとしては、ちょっとびっくりだけどね」
「……だよね。はああ……本当に、性格悪すぎるし、やってること最低だった」
失恋して、少しずつ。
冷静になってきた私は、自分の意地の悪い立ち回りを振り返っては嫌気がさしていた。