【完結】あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~
「うぎゃああああ!?」
「僕の友達を、此処の子ども達をずいぶんと傷つけてくれたね」
また麻那人がシュッと右手を動かすと、今度はザボの左腕が落ちる。
「ぎゃはあああ!?」
「……うるさいよ」
「な、な、なんだ!? 何が起きているんだ!!」
「何が……? 目標が定まっているのなら、他を巻き込むことがないのなら、こんな事は簡単なんだよ……。僕は力が強いから、飛び火しないようにお前がどこにいるかしっかり把握する必要があった……人間社会へ被害を及ぼすことはあってはいけないからね……」
麻那人から出る黒いオーラが、ゆらりと揺れる。
強い強い瘴気が、ドラゴンのように麻那人を包んでいた。
近づけば悪魔も人間もどうなるか、わからない。
サボが血を吐く。
「ガハ! なんだ、こんなおかしい! 俺がこんなガキ悪魔にぃ!? なんだこれは!?」
「まだわからないのかい? ……僕がお前に攻撃をしているんだよ……お仕置きだ」
ニヤリと麻那人が笑った。
「こ、こんなガキに、どうして俺が、こんな事はおかしいだろぉおおおおおおお! お前が消えろぉお!」
腕を失ったザボは最後に噛みつこうと、麻那人に襲いかかる。
「おかしいなんて事はないだろ? だって僕は悪魔王子なんだからね」
「な、なんだって……!? まさか……お前が……?」
噛み付く寸前に、ザボはギョッとした顔をして逃げようと考えたのだろう。
しかし、もう遅い。
麻那人の手刀がザボを一刀両断した。
「殺さないよ。しっかり罪を償え。闇魔法・極黒炎地獄……発動」
麻那人の手のひらに魔法陣が浮かぶと、一気にザボは黒い炎に包まれて燃え上がった。
「ぎゃあああああ! ……まさか……お前が……三代目……な……の……か……」
「そうだよ、僕が三代目さ」
驚愕の瞳を麻那人に向けたまま、ザボは燃えていく。
燃え尽きるかと思われたが、萎びたような焦げ茶色の心臓だけが残った。
「……汚い心だ」
麻那人は胸元から瓶を取り出すと、心臓を入れて封を閉める。
そして、念じるとその瓶はシュン! と瞬間移動のように何処かへ消えてしまった。
「麻那人ーーー!」
光の声がした気がして、麻那人はキョロキョロと公園の入り口を見た。
「……光?」
まだ結界は張ってあったのに、ハンカチで口を塞ぎながら光が走ってくるのが見えた。