推しにおされて、すすむ恋
おし と うちあわせ

綾瀬くんに「捻挫」という事件が起きた、その後。

足が痛いにも関わらず、綾瀬くんは私を家まで送ってくれた。

帰り際、


『また明日ね、小鈴さん』


って黒髪をはためかせながら、笑顔で言ってくれた。

あの姿……すごいカッコよかったなぁ。
さすが、学年一モテる男の子!


「もっと早くから、たくさん喋っていれば良かったなぁ」


ご飯も終わり、お風呂上り。髪の毛をタオルでワシャワシャ拭きながら、自分の部屋を目指す。


「綾瀬くんのこと、今まで〝雲の上の人〟って思っていたから……無意識の内に距離を取っていたんだよね」


でも実際に話して見ると、すっごく良い人だった。イケメンで、性格も良いなんて……そりゃ女子が放っておかないよ。


その時、お姉ちゃんの部屋の前を通りかかる。

中から「ん~」と、何やら呻く声が聞こえるけど……いつもの事だから、放っておこう。


小鈴つむぎ、中三。
私の、一つ上のお姉ちゃん。

お姉ちゃんは茶髪のロングヘアーで、モデル体型で、すごく可愛くて、キラキラしていて、学校では「女子の憧れの的」になっている。

確かに、学校で背筋をしゃんと伸ばして歩くお姉ちゃんはカッコいいんだけど……。


実はお姉ちゃんには、とある秘密がある。

それが――

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