推しにおされて、すすむ恋
結局、二人は付き合ってないんだよね?
それなら、二人で何の話をしたんだろう?
予想はつかないけど、少しの不安がつきまとう。
お姉ちゃんは「ノアと付き合ってない」って全否定してたけど……玲くんは、どうなんだろう。
本当は〝お姉ちゃんと付き合いたい〟って、思ってたりして……。
「こら、勝手に想像しない」
「うっ」
頭の上に、ポンと手が乗る。温かい体温に、少しだけ冷静さを取り戻す。
「これからする話は、ゆのを不安にさせるものじゃないから安心して」
「そうなの……っ?」
自分の声が、少しだけ弾む。
誰が聞いても分かるほど、鮮明に。
あぁ、私って単純だ。
好きな人の一言で、こんなにも気分が変わるなんて。
玲くんは、そんな単純な私を見て。
ちょっとだけはにかんだ。
嬉しそうに口角を上げた。
そして――
「これからするのはね、
俺の好きな人の話。
ゆのに恋した瞬間の話だよ」
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