『あのね、わたし、まっていたの』 ~誰か声をかけてくれないかなって~ 【新編集版】
 助けてくれたのは『三文字悪ガキ隊』だった。
 みんなからそう呼ばれていた彼らは、わたしと同じ4年生だったがクラスが違っていたので話したことはなかった。
 しかし、その存在はよく知っていた。
 
 一人は、建十字(たてじゅうじ)球人(きゅうと)
 野球チームのエースで4番だった。

 一人は、横河原(よこがわら)秀人(しゅうと)
 サッカーが誰より上手だった。
 
 そして、もう一人は、奈々芽(ななめ)速人(はやと)
 運動会のリレーの花形だった。
 
 三人とも名字が漢字三文字で喧嘩ばかりしていたので三文字悪ガキ隊と呼ばれていた。
 それだけでなく、彼らは4年生の中では無敵だったし、上級生からも一目置かれていた。
 スポーツ万能で、上級生にも負けない運動能力を備えていたからだ。
 それに、ひと際体が大きく、三人とも身長が160センチを超えていた。
 
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