再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「部長、お呼びでしょうか」

2人の時は亮平と呼ぶけれど、さすがに仕事で部長室に呼ばれたときには敬語を使い部長と呼ぶ。
私は部長室の大きなデスクの前に立ち亮平と向かい合った。

「石田は?」
「外回りだと思います」

もともとは外出予定にはなっていなかったけれど、きっと急な呼び出しでもあったのだろう。
営業なんて仕事していれば、スケジュールが変わることなんて珍しくもないし、きっと急な予定が入り外回りをしているのだろうと思っていた。

「今日はまだ出社していないだろ?」
「ええ、でもそれは・・・」

仕事中の数時間を抜け出して自分のことをする営業部員もいなくはない。
もちろん売り上げは数字で結果を求められるわけで遊んでばかりいるわけでもないが、自由が利く職種ではある。
でも石田くんは、そんなずるをする子ではないと思っている。

「さっきから何度電話しても、連絡がつかないんだ」
「え?」

私はとっさに自分の携帯を取り出して石田くんに連絡を取った。
しかし、出なかった。

「丸星デパートから石田が全然対応してくれないとクレームが出ている。最近では呼んでも来ないとご立腹だ」
「そんな・・・」
< 60 / 195 >

この作品をシェア

pagetop