ふたりが双子である理由
恋愛小説や少女漫画を買い漁っていたわたしや、勇気や勝利をテーマにしたバトル作品にハマっていた涼くんには、ちょっと退屈なヒューマンドラマだったけど、恭くんにとってはそれが運命の出会いとなった。
『難しいは難しかったけど、だからこそ役者の演技に心を動かされたんだよね』
とは、恭くんが以前、当時のことを振り返って口にした言葉。
映画を観て恭くんは役者を志したわけで、その出会いがなかったら今ごろは別の人生を歩んでいたと思う、とも言っていた。
六年前は試写だったその映画が、このたび、ふたたび秋祭りに公民館で上映されることになった。
公開から六年経っている映画の再上映なんてめったにないこと。せっかくなら、ということで休みを利用してやってきた。
わたし自身も映画を楽しみにしているけど、恭くんを少しでも励ませたらいいな、と思う。
「まずはどこから行こっか。二時まで時間あるし、好きなところに行けるよ」
駅に着いて、時間を確認すると十時過ぎ。映画の上演時間が午後二時と決まっているので、それまでは好きに時間をつぶせる。