ふたりが双子である理由

見覚えがないと思った彼氏はなぜかわたしの名前を知っていて、どうやら涼くんの友達らしかった。もしかしたら、S地区に行ったときに会っているのかもしれない。


……泥棒猫の説明で思い出されるのは不本意なんだけど。


一方、わたしを泥棒猫と言った彼女のほうは、しっかり覚えている。わたしに不本意なあだ名をつけるのは、この世のどこを探しても彼女しかいない。……真珠さんだ。


ハーフツインテールの髪型も、胸もとを強調した服のセンスも、最初に会ったときから変わらないからすぐに気づいた。


真珠さんは涼くんのことが好きだったようで(今はどうか知らないので過去形にしておく)、涼くんを連れ戻そうとしたわたしの行動を強奪だと思いこみ、そのせいでわたしと映画館でひと悶着あった。


あれ以来わたしの前に姿を現していない。

まさか、こんなところで出くわすとはね。


S地区を住処にしてる人たちはあの街に入り浸っているのかと思っていたけど……そんなわけないよね。

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