チャリパイ11~時をかける森永探偵事務所~


「おい!お前達!」



互いに顔を合わせて相談をしているシチロー達の背後から、ふいに呼ぶ声が聞こえた。


「お前達が目指す
『mother』は、あそこだ!」


後ろを振り返ったシチロー達の目に映ったのは、窓の外にあるビルを指差すピエールの姿だった。


「あ…ピエール、いつの間にか元の姿に戻ってるよ…
ところで、どうして教えてくれるの?」


敵である筈のピエールが、どうしてシチロー達に情報などを提供してくれるのだろうか…


ピエールは、クルリと上を向いた自分の髭を伸ばしながら、苦虫を噛み潰したような顔で言った。


「別に親切で教えてやる訳じゃない。お前達は、セカンドステージをクリアしたから次のファイナルステージに進む資格があるだけの事だ!」


「ファイナルステージ?」


ピエールの話によると、最初のT9000との戦いが
『ファーストステージ』。
このレストランでの三本勝負が『セカンドステージ』。
そして、この次が『ファイナルステージ』なのだそうだ。


「今まで色々な人間達がこのバーチャルワールドへやって来たが、ファイナルステージまで辿り着いたのはお前達が初めてだ」


バーチャルRPGシステムによって現実の世界から送られてきたネオ・チャーリーズのメンバーは皆、ファースト及びセカンドステージでゲームオーバーになり誰もファイナルまで進む事は無かった。


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