極道の推し活、始めました。〜クールな若頭は童顔女子大生を寵愛して離さない〜
「話が通じねぇガキは嫌いだ」
苛立っているのか、漆黒の髪をガシガシとかきあげる仁睦さん。その姿が素敵で一秒も見逃したくなくて…両手の親指と人差し指を使って、目ん玉が飛び出しそうなほど開いてみる。
「うぅ〜〜…目が乾くっ、痛い〜」
「……今度は何だ」
「仁睦さんが尊すぎてっ、全部見逃したくないんです!分かってください〜…痛い、」
「お前は暇なのか?こんな面倒ごとに巻き込まれてなぜ平然と笑っていられる?絶望するには十分だろ」
絶望するには十分─…?
本物の絶望を一度体験した人間は、並大抵のことではへこたれないのだよ、若頭サマ。
【⠀間違っても絶望なんてするな⠀】
兄の最期の言葉は何年経っても褪せることなく私の胸にしっかりと刻まれている。
「まず面倒ごとに巻き込まれたとは思っていません。家の火災の件も…もしかしたら仁睦さんとは無関係の放火魔の仕業かもしれないですし。絶望する暇があったら、仁睦さんとお近付きになる方法でも考えながら寝ます」
畳の上で膝立ちをしながらガッツポーズをつくって意気込んでみせれば…もう何度目か分からないため息をつかれた若頭サマ。
「バカの相手をするのは疲れる…勝手にしろ」
話すだけ無駄だと判断されたのか、立ち上がった推しの腕を咄嗟に掴んでしまった。