桜の華 ― *艶やかに舞う* ―
31

◇ 社内イベント七夕祭り1

そして迎えた七夕。
俊の会社の社内イベント七夕祭。

そーめんつゆは桃の期待を裏切らない美味しさで、桃も奈々子も俊も
流しそーめんを楽しみつつ存分に腹いっぱい味わった。

食べる時は3人で行動していたものの2才を過ぎた奈々子は
活発に何にでも興味を示し、あちこち動き回るものだから
交代で付いてまわる桃も俊も大変だった。


この日の俊たち家族は、周りからは仲の良い何の問題もない家族に
見えたことだろう。

実際家では会話のあまりない桃がこの日はそーめん流しが気に入ったようで
いつもより口数も多く楽し気な様子だったので久しぶりに俊も
心が軽くなるのを感じた。


          ◇ ◇ ◇ ◇


久々の心の平安にゆるりと自分の部屋で寛ぐ俊。
あの日から傷付けた妻の傷心を(おもんばか)らない日はない。

ほうっ~と知らぬ間に吐き出される吐息。
自分のせいだとはいえ、好いている相手から軽蔑され嫌われているという
現状はとても辛いものがある。

自分の甘さを呪うしかないのだが……。

あの日までの自分が、妻との充実していた生活が
幸福で甘やかなものだったからこそ、絶対手放したくないと、
やり直したいと思うのだった。
< 32 / 108 >

この作品をシェア

pagetop