桜の華 ― *艶やかに舞う* ―
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◇ 社内イベント七夕祭り2
[今原の発言と俊の驚きと困惑]

奈々子の子守をタッチ交代した後、手元にあるドリンクを口にして
奈々子と桃の様子を見ていたら視界にある男が入り込んできた。

確か今年入社組で店舗に配属されているはずの何て言ったかなぁ~?
そうだ確か今原 恭廉(いまはらたかゆき)とかって聞いてたな。


ずっと熱心に桃と奈々子の様子を目で追っている。
今更桃に恋したって駄目だぞっ! 

桃は俺の奥さんなんだからな。
ちょっとそんな埒もない言葉を胸の内で呟いた。



その新人から視線を逸らし、室内をぐるりと見回した。
なんとなく、周囲はどんな風に動いているのか偵察の為。


皆家族と一緒ということもあり、和気あいあい楽し気に祭りを
満喫しているようだった。


少しずつでいい、出来る限り桃に尽くして昔のようにとはいかずとも、
少しでも信頼を得ていかなければ……。

これを機に休暇には家族での外出を増やして楽しい時間を増やしていこう、
そんなことを俺は頭の中で考えつつ再度視線を娘たちに戻した。



すると目の前に、いつの間に近づいていたのか……今原が立っていた。


「あっと……今年入社した今原と言います。
これまであまり接点もなかったのにいきなり話かけてすみません。
実は奥さんを知ってるっていうか……」



俺に話掛けてきた今原が妙なことを言い出した。
思わず俺は今原の顔を凝視した。



そんな俺の様子に今原は一瞬怯んだように見える。
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