桜の華 ― *艶やかに舞う* ―
36
「水野だが、俺の妻と知り合いってこと?」
「奥さん、ほんとにお綺麗ですよねー」
今原は俺の質問に、質問とはかけ離れたことを言い出した。
ますます怪しい奴だ。
コイツ、何なのだ。
俺は呆れた感を醸し出したのだが目の前の男は場違いというか
雰囲気にそぐわない言葉を繰り出すのになんの躊躇も持たない人種
のようで、苛立ちながら俺はヤツの話を続けて聞かされた。
とにかくヤツは桃のことを綺麗だと何度も誉めそやす。
他所の男の伴侶を褒めることって、奴にとって何の意味があるというのだ。
何が目的なんだと、キモイ奴認定しかけた時のこと。
「いや、あんなにきれいな身体をいつも見られるなんて、羨まし過ぎて……。
それと水野さんは奥さんが他人に見られるのを許されていて
心の広い人だなぁ~って、僕ならもったいなくてとても人様には
見せたくないというか出したくないっていうか。
僕は狭量な人間なものですから。
水野さんのように心の広い人のお蔭で僕も含めて裸婦画の授業を取ってた
学生はとてもいい絵を描くことができました」
「裸婦って? なんだそれ」
「あぁ、僕は芸大卒で女性の裸を描く授業があって、その時のモデルが
奥さんでした。学期の途中からで短期間でしたが」
「その授業っていつだった? 大学だから平日なんじゃないのか?
妻は休日のバイトはしているが平日に働いてるなんて聞いたことがない。
お前の勘違いじゃないのか?
第一俺が裸のモデルなんて許すわけないだろ!」
俺がイラついたまま話を続けたのと、許すわけないと言ったことで
流石のニブチン野郎も何かを察したようで
『すみません、つい見知った人の顔をみて懐かしくなったものですから、
馴れ馴れしく話し掛けてしまいました。
そうですね、僕の勘違いかもしれません。
申し訳ありませんでしたっ、失礼します』
と言い置き、彼は自分の元いたテリトリーに戻っていった。
裸のモデル、いくら考えても妻の桃からは遠い仕事だった。
よりによって先輩に向かって奥さんの裸が綺麗でしたなんて、アイッの頭は
ネジが何本か抜けているとしか思えない。
まったく。
「水野だが、俺の妻と知り合いってこと?」
「奥さん、ほんとにお綺麗ですよねー」
今原は俺の質問に、質問とはかけ離れたことを言い出した。
ますます怪しい奴だ。
コイツ、何なのだ。
俺は呆れた感を醸し出したのだが目の前の男は場違いというか
雰囲気にそぐわない言葉を繰り出すのになんの躊躇も持たない人種
のようで、苛立ちながら俺はヤツの話を続けて聞かされた。
とにかくヤツは桃のことを綺麗だと何度も誉めそやす。
他所の男の伴侶を褒めることって、奴にとって何の意味があるというのだ。
何が目的なんだと、キモイ奴認定しかけた時のこと。
「いや、あんなにきれいな身体をいつも見られるなんて、羨まし過ぎて……。
それと水野さんは奥さんが他人に見られるのを許されていて
心の広い人だなぁ~って、僕ならもったいなくてとても人様には
見せたくないというか出したくないっていうか。
僕は狭量な人間なものですから。
水野さんのように心の広い人のお蔭で僕も含めて裸婦画の授業を取ってた
学生はとてもいい絵を描くことができました」
「裸婦って? なんだそれ」
「あぁ、僕は芸大卒で女性の裸を描く授業があって、その時のモデルが
奥さんでした。学期の途中からで短期間でしたが」
「その授業っていつだった? 大学だから平日なんじゃないのか?
妻は休日のバイトはしているが平日に働いてるなんて聞いたことがない。
お前の勘違いじゃないのか?
第一俺が裸のモデルなんて許すわけないだろ!」
俺がイラついたまま話を続けたのと、許すわけないと言ったことで
流石のニブチン野郎も何かを察したようで
『すみません、つい見知った人の顔をみて懐かしくなったものですから、
馴れ馴れしく話し掛けてしまいました。
そうですね、僕の勘違いかもしれません。
申し訳ありませんでしたっ、失礼します』
と言い置き、彼は自分の元いたテリトリーに戻っていった。
裸のモデル、いくら考えても妻の桃からは遠い仕事だった。
よりによって先輩に向かって奥さんの裸が綺麗でしたなんて、アイッの頭は
ネジが何本か抜けているとしか思えない。
まったく。