桜の華 ― *艶やかに舞う* ―
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◇退院


退院する日に両親からしばらくは実家で療養するようにと言われ、
入院してからずっと気になっていたことを俺は母親に訊いてみた。


「その、桃はあれからどうしてるか知ってる?」

「実はね、桃ちゃんも、入院してたのよ。
それでね、桃ちゃんも今日退院するらしいの。

今頃ご両親が迎えに行ってるんじゃないかしら」



そんなことになっていたとは……。
奇しくも桃も同日に退院するということらしい。

続けて俺の預かり知らぬところで、桃の担当医の助言もあり、両家の両親の間で
俺たち夫婦の離婚が決められていることも聞かされることとなる。


それを聞かされて『そんなぁ~』とも思ったが、『そうなるよなぁ~』とも思った。

退院後、桃は彼女の実家へと戻り、俺もまた両親の住まう家へと帰る。
そんなわけで俺たちの住まいは当分の間、空き家になりそうだった。

          ◇ ◇ ◇ ◇


退院して自宅に帰る車中で母親から病院での当時の桃の様子を
姑よろしく、悪びれることなく不満げに語るのを聞かされた。


『桃ちゃんが連行された後すぐにそのまま病院へ入院することが決まって、
翌日私とお父さん、それとあちらのご両親の4人が召集されたんだけどね、
すごかったのよぉ~。

桃ちゃんの担当医に怒られちゃったのよー、桃ちゃんの気持ちを蔑ろにするなってね。

桃ちゃんがああなったのは私たちのせいだー、とまで言われたのよ。
まったく……もう』

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