桜の華 ― *艶やかに舞う* ―
9

◇さらなる絶望

家に帰ると、娘は寝ていた。
母親は用事があるからといつものように長居せずそそくさと自宅へと
帰って行った。

ポツンと一人の時間ができたこともあり舞の言葉で当時の切迫流産で
入院していた頃のことが思い出された。

定期的な子宮収縮が頻繁にあり子宮口が開きやすくなり入院した。


様子を見て症状が軽くなれば自宅安静に切り替われるかもと言われていて、
入院していた時にはフロア内の移動などは最小限にし、指示通りなるべく
ベッドで一日の大半を横になって過ごした。

そして一時退院の話も出たのだが症状が安定しなかった為
結局そのまま出産まで入院したのだ。


産院が最寄り駅からそう離れていなかったということもあり、
俊は仕事帰りに毎日のように様子を見にきてくれるやさしい夫だった。
< 9 / 108 >

この作品をシェア

pagetop