呪い殺された地味令嬢が最愛妃になるまで~お仕えしていた不遇王子が知らぬ間にヤンデレ皇帝となって、私を花嫁にご所望です⁉~
 加えて、ハーディーラはなんのかんの言ってもエリオットを大切に思っている。ふたりの絆の深さ、ハンナには最初からわかっていた。

 あの不遇な環境で、エリオットが人間らしい心を育めたのは彼がそばにいてくれたからだろう。

「あなたの使役主の利になることです。ですのでどうか、叶えてくださいませんか?」

 やはりハーディーラはハンナがそう願い出ることを予知していたようだ。顔色ひとつ変えずに、金の瞳でじっとこちらを見返すだけ。

 ふぅと彼が細い息を吐く。

 その後ろでエリオットと彼が作った、虹色の花が闇のなかに浮かびあがっていた。

 その景色は幻想的で、楽園にいるような気分になる。

「この花、いつの間に?」

 エリオットは、かつて一緒に過ごした離宮にこの花を咲かせていた。王宮の中庭はなかったはずなのに……。

「俺がやった。戦に出る前に見ておきたいと、エリオットがせがむから」
「そうですか。――なんて美しい」

 ハンナは眼前に広がる景色にうっとりと目を細める。

(エリオットさまの愛の証ともいえるこの花に囲まれて最期を迎えられるなら、本望だわ)

「……お前らは似た者同士だ」

 ハーディーラの言葉の意図するところがわからず、ハンナは首をかしげる。だが、彼はそれについては説明せずに話を続けた。

「お前の願いは、エリオットの利にならないぞ」
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