甘さなんかいらない
重い扉を押し開けて、愛おしいその人の名前を呼んだ。少し距離のあるステージに向かって、届いてほしくて。
それと同時、ステージ上のマイクが拾った低い声があたしの声に被さるように響き渡った。
『やっぱり、できない』
一直線。直線上に、真っ白なドレスを着た女の人と、黒色のスーツを着た黒髪。
大好きなその人が、女の人を自分から引き離すように向かい合っていて、そのままあたしへ視線を揺らした。