甘さなんかいらない



あの頃とはまるで違う雰囲気を纏っていたにも関わらず、一瞬でゆずだとわかった。きっと向こうも同じだろう。


全てが嘘っぽくて男ウケ全振りだった胡散臭い天使女は、人を寄せ付けないような鋭いオーラを放つ一匹狼女に変貌していた。




人と群れず自分に素直に過ごす羽山柚果に“可愛い”という感情を初めて抱いたのは、この再会した第一印象の時からかもしれない。


ゆずの話を聞かずとも、俺はもう無意識の中で彼女に可愛いを向けていたように思う。





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