甘さなんかいらない
「お金は柚果の分も一緒にあとで払う。俺らここで抜けるわ」
捨てるように言葉を置いた瑛くんに連れられてお店を後にした。周りが何か言っていたけど全然入ってこなかった。
何も言わないまま、引かれるがまま少し歩いて曲がった路地。立ち止まって、見上げられないまま下を向いていれば、もう一度、腕を引かれた。
ぎゅっと強く抱きしめられて、されるがままだ。
常に距離が近すぎて、瑛くんのバニラがあたしのバニラになりそうだ。顔を上げられなくて、今どんな表情をしてるのか見えない。
……ね、何を考えてるの?