熱の城

 事の起こりは、一週間前…―――


「えっ? わたしが、……ですか?」

「そうよ、今日から藤乃さんに、鈴木主任の正式な補佐をお願いするわ」


 アイコ先輩は、そう言って、一冊の分厚いファイルをわたしに差し出してくれた。


「……」


 青天のヘキレキ


 ファイルを受け取りながら、頭の中にそんな言葉が浮かんでしまう。

 どうしょう……。

 断ることなんて出来ないだろう。


「……あの、アイコ先輩」

「なぁに?」

「わたしで、大丈夫でしょうか?」


 この営業補佐の中で、一番仕事が遅いんですけれど?


「あぁ、大丈夫よ」


 アイコ先輩は、カラッと笑って言い切った。


「えっ?」

「だって、芽依ちゃん指名したのタイガーだもん!」

「……っ」


 えぇぇぇぇぇ~っ!!??

 それが、わたしの運命のはじまり? だった。



< 2 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop