熱の城

「はい」


 よかった。鈴木さんにこれ以上、手間をかけてしまう所だった。

 タッチパネル押して住所を入れると、最短距離のルートが画面に表示される。


「あっ……」


 思ったより表示されたルートが短い、家の近くまで車が進んでいたんだ? まだ全然知っている道を見つけられないけれど。


「もうすぐだったんですね」

「みたいだな」


 静かに笑うタイガーが、やけに大人に見えて鼓動が速くなった。


「迷わなくて、良かったです」


 あと少し……。

 真っ直ぐ行って、三つ目の角を曲がってしまったら、わたしの住むアパートに着いてしまう。


「……」


 そして、この夢みたいな時間は終わり。また明日から、忙しい日常へ逆戻りだ。



< 58 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop