熱の城

 怖い……、これ以上彼に近づいたら、心臓が破裂してしまいそうだ……。


「鈴木主任っ! お願いです、……放してください」

「……」


 やっとの思いで伝えた言葉が、また沈黙に吸い込まれる。どうすれば、放してくれるの?


 ドキンッ、ドキンッ、ドキン…―――


 シンと静まり返る部屋、わたしの心臓の音だけが、室内に響いているかのように感じた。


「もう少し、ゆっくり、落としていこうと思ってたのに……」

「……っ!?」


 それって……、どう言う意味ですか?

 確認したくても、後ろから抱きしめられていて顔を見ることが出来ない。


「こんなに無防備だと、抑えがきかなくなるな……」


 あっ……。

 タイガーの大きな手が、長い指が、後ろからゆっくりとわたしの頬にかかり、振り向かせるように引き寄せてくる。

 視界に、彼の唇が見えて……。



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