熱の城

 あぁぁ、どうしょう~!

 定時に無理矢理仕事を終えて、更衣室で、わたしは、ヒロキに何てメールを返そうか、悩んで着替えられないでいた。

 身体に未《いま》だに残る、ジリジリと燻るタイガーの熱。

 ヒロキの顔を見たら、少しは落ち着くのかしら? 嫌々、浮気しておいて、彼に合わせる顔なんてないでしょう? それに、バッチリと首についたKISSマークなんて見せられるワケないから!

 久々の時、ヒロキは絶対求めてくる。だから今日は、会わない方がいい。

 本当は、会いたい。

 何もかもなかった事にして、久しぶりに甘えさせてもらいたい。もう、そんな権利さえなくなってしまったかも知れないけれど……。


「……」


 どうしよう……。『今日は会えない』と言う、上手い理由を見つけられない。

 はぁ……、どうしょう。

 不意に鳴る通話の着信音、見なくてもヒロキからの電話だってわかってる。


「……っ」



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