熱の城

 17時30分…―――


 とうとう補佐初日の定時まで、タイガーは姿を現さなかった。メモと大量の仕事のおかげで、やることには困らなかったけれど。


「はぁ……」


 小さくため息をついて、椅子に座ったまま身体を伸ばしてみる。やっぱり、初日に合えないのは少し寂しく感じた。

 営業の行動スケジュールボードには、直帰とは書いていない。

 待っていた方がいいだろうか?

 う~ん

 急ぎの仕事の山以外は、まだ残ってるし……。挨拶くらいは、したいから居ようかな?

 わたしは、気持ちを切り替えて、次の仕事のファイルを手にし、指示の書いてあるメモを読み返した。

 クセのある大きな字、過不足なく書かれた指示が心地いい。

 これ、こうした方がやりやすいかな?

 この文字の大きさは、会議で見ずらいから、少し大きくしても大丈夫かな?


 ん? これは…―――



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