熱の城

「……家の、近くの、駅の前にいます」


 鼓動が、耳元でうるさいくらい高鳴っている。


『もう直ぐ会社に着く、前のビルのカフェまで出て来られるか?』

「……っ!?」


 落ち着いたタイガーの声が、耳元でやさしく響くから、胸の奥が、ギュウッとした。


「……鈴木さん、仙台に出張だったんじゃ?」

『あぁ、一件御不幸でキャンセルになって、もう一件は企画の提案だけだったから、早めに片付いたんだ、日帰りですんだよ』

「……っ」


 身体が急に熱くなったような感覚がした。今から会える喜びで、どうにかなってしまいそう。


 でも…―――


「鈴木さん、わたし……」

『ん? ……どうした? 藤乃』

「っ!?」

 わた、し? 反射的に、わたしは口元を押さえた。

 今何を、言おうとした?

 わたし……。



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