神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜
…で、その数時間後。

辺りがすっかり暗くなって、ネズミが活動する時間になってから。

いざ、再チャレンジ。

「…めっちゃ音、するな」

「…しますね…」

夜になると、突然。

屋根裏から、ネズミ達の走り回る音が響いていた。

これはうるせぇわ。

気にすまいと思っても、どうしても気になるし。

とてもじゃないけど寝れない。

自分の周囲にいるんじゃないかって、めっちゃ不気味な気分になる。

まさにネズミ屋敷。

おばーちゃんも奥さんも、今日までよく我慢したよ。

一日でも早く解決して、ネズミから解放された日々を送りたい。

その気持ちはよく分かる。

…何とかしないとな。

「よし…やるぞ。ネズミ共、成敗してやる。ルイーシュ、梯子支えててくれ」

「ふわぁ…。この時間になると眠いですね」

「おい、仕事はまだこれからだぞ」

つーかお前、人様の家で眠くなるな。

「はいはい、支えてますから頑張ってください」

ルイーシュが下で梯子を支え。

俺がその梯子を登り、再び、屋根裏に顔を出した。

すると。

「うはぁ…!いる…!」

はっきりと姿が見える訳じゃねーの。

でも、視界の隅にチラチラと、何かが走ってる。

あれ、全部ネズミだぜ。

一体何匹いるんだ?

「へぇ。大モノですか?」

「いや、大きさまでは…。でも、手のひらくらいだな」

はっきりとは見えないが、まぁまぁ、そこそこの大きさはあるぞ。

すげーな。めっちゃ良い環境じゃん。

我が物顔、とはこのことだ。

この家族が引っ越してくる前から、ずっとこの屋根裏に住んでたんだろう。

この家は我らのもの、とでも言いたげである。

調子に乗りやがって、このネズミ共はよ…。

めっちゃ獣臭い。おぇっ。

…で。

「ルイーシュ、新聞取ってくれ」

「はいはい」

ルイーシュが、梯子の下から必殺の武器。

新聞紙を細長く丸めたもの、を取ってくれた。

これでぶん殴ってやる。一匹残らず。

「…よっしゃ、かかってこい…!」

ネズミがこちらに近づいてきたら、この新聞棒で叩いてやるつもり…だったんだけど。

「…そこだっ!」

ネズミを射程圏に捕らえるなり、手を伸ばして新聞棒を振りかぶった。

ベシッ。

しかし。

「あぁっ…」

「捕まえました?」

「逃がした…!」

俺の新聞棒から逃れたネズミは、俺を嘲笑うように駆けていった。

畜生。人間様を馬鹿にしやがって。

「ぶはぁっ…」

新聞棒で屋根裏を叩いてしまったせいで、溜まっていた埃がぶわっ、と舞い上がった。

くち、口の中に入った。

ぱっ、ぱっ、と口の周りを払って、再び新聞棒を構えた。
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