空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む

2 仕事とランチと海の幸

 私たちはその後、遊歩道を歩いてリゾート側へとやってきた。マルマロスロード沿いには公園があり、その向こう側にショッピングモールなどの商業施設がある。

 凌守さんは海沿いの公園を抜けると、商業施設から少し離れた場所ある、お洒落なカフェの前で立ち止まった。
 白い外壁、ブルーの屋根。地中海を彷彿とさせる外観のこじんまりとしたカフェだが、扉横の大きく開いた窓は開放感がある。

「ここ、美味いんですよ。こんな可愛らしい店構えなのに、お腹は満足できるんです」

 凌守さんは言いながら、お店のドアを開いた。

「いらっしゃい」

 すぐに店主らしき中年の男性がやってきて、目の前の海がよく見えるようにと窓に向かって設置されたカウンター型の席に通された。凌守さんと並んで座ると、彼が注文を取りに来る。

「兄ちゃんはいつものパスタ大盛りな。で、恋人さんは――」
「おっちゃん、俺たち付き合ってないから」

 さらっと交わされた会話に、思わず赤面してしまう。すると凌守さんがバツが悪そうに口を開いた。
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