空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
「いやいや、海花ちゃんならいつ来てくれても大歓迎だよ。そうか、新しいホテルに異動……。立派になったな」

 まるで本当の家族のように、彼はそう言って感慨深そうに私のことをじっと見た。だけど、すぐに視線を凌守さんに向ける。

「こちらは、海花ちゃんの彼氏か? 紹介してくれるのか?」
「ち、違います!」

 私は言いながら、慌てて彼とつないでいた手を離した。そういえば、ずっとつないだままだった。

「彼は、八年前に私を助けてくれた海上保安庁の潜水士さんです。今は、機動救難士というお仕事をされているそうです」

 凌守さんを紹介する。すると、東海林さんは目を瞬かせ、作業中だった手を止めこちらに体ごと向き直った。

「その節は、大変お世話になりました。海花を助けていただき、ありがとうございました」

 東海林さんが凌守さんに頭を下げる。凌守さんは恐縮したように、いえいえと胸の前で手を振った。
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