空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む

3 機動救難士という仕事

 十月。空気はすっかり秋めき、高い空に青い海が映える季節になった。

 凌守さんとは互いの休みが合わず、二週間前に会って以来なかなか会える日がないが、海に近いアルカディアポートホテルで仕事をしていても、彼のおかげか不思議と心は凪いでいた。

 仕事では、コンシェルジュ同士でプランニングをしたり、近隣施設の情報を交換したりして、約一か月後のオープンに向けお客様に滞在を楽しんでいただけるよう努める毎日だ。

 実際に施設を訪れることもあるが、海にほど近いバーベキュー施設に行っても恐怖に勝ち仕事ができたのは、彼と過ごしたあの日のおかげであることは間違いない。

 三週間後には、ホテル前の桟橋から観光遊覧船の発着も始まる。
 このホテルに滞在されるお客様の利用率が高いだろうからと、遊覧船への体験乗船も三週間後の仕事に組まれている。今なら、それもきっと乗り越えられるだろうと思う。
< 78 / 210 >

この作品をシェア

pagetop