空飛ぶ海上保安官は、海が苦手な彼女を優しい愛で包み込む
 しかし、入学と同じ日。同じクラスになった麗波が私を指差し、突然罵ってきた。

「彼女は犯罪者の娘よ。船を沈めた海の悪魔のね」

 入学式の後早々にそう宣言され、クラスメイトから軽蔑の眼差しを受けた。

「犯罪者の娘にお金を出してあげるだなんて、私のお父様はとても慈悲深い人なの。感謝しなさい」
「ありがとうございます、麗波様」

 毎日彼女にそう言われ、そのたびに私は頭を下げた。もちろん、学園一のお金持ちのお嬢様のその行為に、なにか言う人など一人もいなかった。
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