桐田家のヒミツゴト~契約結婚したはずが、義弟との距離が近すぎる~
00.プロローグ
「俺、好きな人がいるんだ」
そう言われて、私は彼と結婚した。
小さな教会のベルが鳴り響く。 白い花びらが舞い、響き渡る歓声。
両親も、義理の家族も、甥っ子も、皆が笑顔で祝福してくれている──。
本当は、幸せな結婚ではない。
ただ、遠くに行きたかった。私のことを誰も知らない場所へ。
やっと逃げ出せる自分に、ほっと胸を撫で下ろす。そのとき、ふと視線を感じた。
彼の弟だろうか。
「一生愛することを誓いますか?」
牧師の言葉に、私は小さく息を吸い、手を差し出した。
「……誓います」
これは──、私と彼の契約結婚のはじまりだ。