桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
目の前には、完成されたリメイクカフェ。
大きな窓から見える室内は、まだ綺麗には片付いてないけれど、外観は、あの鉛筆で描かれた設計図のように作られている。
──壁は優しい感じの淡い色がいいな──
──屋根は、明るい緑……青っぽいのがお洒落かな~。ドアとか窓の縁も同じ色で揃えて──
淡いアイボリーの壁。
青緑の屋根。
扉と窓の縁も同じ色で塗られている。
普通サイズだった扉は、両開きの大きいサイズになっていて、まるで絵本にも出てきそうなものに変わっていた。
ツリーハウスの、扉とどこか似ている。
ボロボロだったテラスも板が張り替えられていて、綺麗になっている。
テーブルも椅子も、前より増えていて、お客さんが何人入ってもいいように──。
「……朝士くん!!」
扉を開けて中に入ると、床に寝転がる朝士くんが目に入った。
「カフェ完成してたの?なんで言ってくれなかったの?」
「んー?……あ、彩里?」
朝士くんが上半身を起こして目を擦りながらこちらを見る。
「あ、あの時、わ、私が言った色にしてくれたの?」
「なんだよ、嬉し泣きか?」
朝士くんがケラケラと笑って、私の頭を叩くけど。
だって、あんな些細な会話を覚えていてくれた事が嬉しくて、涙がポロポロと溢れていく。
「俺さ、智夜がツリーハウス作ってくれた時、滅茶苦茶うれしかったんだ!」
私、朝士くんからの告白断って、たくさん振り回してるのに。変わらず接してくれて、私のためにこんな場所を作ってくれた。
「ははっ、彩里は泣き虫だな~。そんな嬉しいなら、お礼ちょーだい!」
「……お礼って?」
「キスとか──…むぐっ、」
「それは却下」


