桐田家のヒミツゴト~秘密の契約結婚からはじまる恋~
色々なことがあって、日々が過ぎていく。
キャンプ場は夏のトップシーズンを終え、今度は秋のシーズンを迎えた。
昼間でも随分と過ごしやすくなり、あんなに緑一面だった木々も、少しずつ赤や黄色へと色づき始める。
お客さんの層も、夏休みを楽しむファミリーから、ツーリングや紅葉を目当てで泊まりにくるキャンパーへと移り変わっていった。
不思議だな、ここに住む前はこんなにも季節なんて感じたことなかったのに──。
「最近、朝士くん来ないですね」
「ん?……あぁ、忙しいみたいだよ」
管理棟の受付に並んで座るのは、智夜さんと私。
茉昼ちゃんは柊くんの保育園探しで役所に通っていて、今は受付の仕事を智夜さんに教わっている。
「学校ですか?試験とか……」
「気になる?」
「まぁ、いつもいるのにいないと気になりますよね」
「前は否定してたのに、なんか妬けるな」
智夜さんが笑いながら私の頭を優しくポンポンと撫でるから、怒りたいような複雑な心境になる。
朝士くん、前は用が無くても家に顔を出していたのに、最近はご飯を食べたらすぐ何処かへ出掛けているようだった。
「そうだ、彩里ちゃん。カフェの方もみてきて貰えないかな?朝士もいるだろうから」
「え、あ、はい……」
そうか、カフェのリメイク作業をしているのか……。
管理棟を出て、舗装されていない砂利道を進む。
まつぼっくりとどんぐりが落ちているのを見て、ふと柊くんの事を思い出した。
ザワザワと木々が揺れる音がして、紅葉で色付いた葉がひらひらと落ちてくる。
茉昼ちゃんが怪我をしたり、忙しかったりで最近は片付けに行けていなかったし。受付の仕事が出来るよう事務処理やネットの使い方を教わってばかりだったし。
どのくらい出来上がってるのかな。
キャンプ場のサイトを通り過ぎて、少し先へ進むと、コテージ風のカフェ予定の建物が見えてきた。
「……え?」