たとえ生まれ変わっても
「紗智、知ってる?
俺らの学部に新しい生徒が来るって」
「え、そーなの?
なんか、この時期って珍しいね」
「だよな。
それに…男だって」
そう言って、私を見る涼。
「…涼、
私のこと疑ってるでしょ」
「別に?でも、わかんないじゃん?」
「ないよ、絶対ない」
そうやって、この時の私は確信していた。
涼以外にないと。
”絶対”なんてないのに。
「そんなに、俺が好きなんだ?」
「……うるさい」
涼を不安にさせないように言ったのに、
そうやって涼は私をいじる。
「じゃあ、はい」
そう言って、いつものように、
手を差し出してきた大きな手に、
そっと私の手を重ねる。
「いい加減慣れてよ。これぐらい」
「………うるさい、ばか」
「はいはい、照れ隠しはいいから」
そう言って、少し前を歩く涼の背中は大きかった。