北帝連―Taiju×shinobu編
それから数日後の祝日。
忍はあれ以来、一度も部活に顔を出さず、結局、試合にもやって来なかった。
「今日の先発は井上でいく」
「えっ、はい‥」
絶対におかしい。
昨日までは試合には出るといって部活には出ずそのまま帰宅していたのに、その試合さえもスッポカスなんて何かあったに違いない。
「井上!ベースカバー!
打たれてもボケッとするな!」
「はい!」
本当に打撲だけなら、試合には出れずとも見学くらいには来れる。
今日の試合が終わったら忍の家に行ってみよう。
その為にはまず、この試合に勝たなければならない。
「先生、井上じゃ負けます。
俺に投げさせて下さい」
「なに言ってんだ楢崎、お前が投げたら誰がキャッチャーやるんだ」
「雅紀」
「わかってる。先生、お願いします。
忍が戻って来るまで、敗退する訳にはいかないんです」
「‥‥‥」