御曹司たちの溺愛レベル上昇中

***


「……今日帰ったら、纏めた荷物の一部を持っていけばいいし、必要なものはある程度いれたから大丈夫……なはず」

学校に着いて、下駄箱の前で一人ぶつぶつと独り言。


「よっ」
「あ、おはよう」


後ろから小鳥遊くんが来て、一緒に教室へ向かうことに。


「あれからシェアハウス行きは決まったのかよ」
「うん、今日から。少しの間、アパートとシェアハウス通いするの。片付けないとだから」
「やっぱそうしたのか。……片付けって、お前一人でできんの?」
「それは村……おじいさんが手配してくれてるから、大きな家具とか撤去してくれるって。だからわたしは細々したものを片付けるだけなの」

改めて言葉にすると、ほとんどを任せてしまう形で申し訳ない気がするけど。

「トントン拍子だな」
「き、奇跡的に……」


教室に着いて、苦笑いするわたしに小鳥遊くんはそっぽを向いた。


「……まぁ、あれだ」
「ん?」
「な、何かあれば言えよ……手伝ってやらなくもないし」

「ありが……あれ、行っちゃった」


ありがとう、と言い終える前に小鳥遊くんはそそくさと教室へ入っていった。
あれは照れてるのかな。
言い方はぶきっちょだけど、優しいのは伝わってくる。


「……がんばろっ」
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