御曹司たちの溺愛レベル上昇中
村田さんに出会って間もないのに、もう今週末に入居が決まったわたしは荷造りを始めていた。
主にシェアハウスに身を置きながらも、
アパートの片付けもあるから、しばらくはアパートとシェアハウスを行き来することになる。
幸いにも部屋が狭いから、片付けるといってもそこまで大変なことはないけど──
「……ちょっと、寂しいな」
貧乏でボロボロの木造アパート住まい。
三人で仲良く暮らしていた部屋。
見渡せば身長を測った跡、コーヒーを溢したシミ。年季のはいった家具たち。軋む床が愛しく感じる。
子供の頃から住んでいたから、それなりの愛着と思い出がつまっている。
貧乏でも、幸せというのは人並みに感じられいたと思うから……。
「引っ越す前に、少しでも綺麗にしてから行くからね」
綺麗にしても、取り壊されるのは分かってる。
それでもこの家への感謝の伝え方はそれかなって思う。
ボロボロの畳を撫で、わたしはまた荷物を纏めていった。
***
「……今日帰ったら、纏めた荷物の一部を持っていけばいいし、必要なものはある程度いれたから大丈夫……なはず」
学校に着いて、下駄箱の前で一人ぶつぶつと独り言。
「よっ」
「あ、おはよう」
後ろから小鳥遊くんが来て、一緒に教室へ向かうことに。
話すには丁度いいタイミングかも。
「あれからシェアハウス行きは決まったのかよ」
「うん、今日から。少しの間、アパートとシェアハウス通いするの。片付けないとだから」
「やっぱそうしたのか。……つか片付けって、お前一人でできんの?」
「それは村……おじいさんが手配してくれてるから、大きな家具とか撤去してくれるって。だからわたしは細々したものを片付けるだけなの」