御曹司たちの溺愛レベル上昇中


***


帰宅してすぐ、大きな鞄を持って玄関へ。


「今日からシェアハウスなんだ。もう、ここで寝ることはないけど……片付けが終わるまで通うからあと少しよろしくね」


部屋に向かってわたしは小さく笑った。

端から見たらおかしいかもしれないけど、長年住んだお家だから、礼儀よ。礼儀。


「いってきます」


スマホに送られた地図を頼りに、シェアハウスへ。

「……さすが村田さんだ、すごい分かりやすいや」

少しくらい道に迷ったり、分からなくなったりするのかな?と思っていたんだけど、

そんな心配は皆無だったみたい。
色付けされたルートのまま進めば、あっという間に着いた。


「ここだ……」



見た目は他の家よりは大きいな……くらい。

シェアハウスって言われないとわからないな。


わたしは、鞄にいれていたポーチから鍵を取り出した。

シェアハウス行きを決めた翌日、村田さんが鍵を届けに来てくれて──


『お三方がいない可能性もございますので、インターホンは鳴らさず、鍵をお使いください。新しい方が来られる旨は伝えてありますので』


ご心配なく、と。


「……本当にいいのかな」


手にした鍵を一瞥する。



そして、わたしはゆっくりと鍵を開けた。



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