御曹司たちの溺愛レベル上昇中
……痛い。
視界がぐるりとまわり、痛みと驚きで目がチカチカする中、近くにいた三年の男子がわたしに手を伸ばしてくるのがうっすらと見えた。
だけど──
「小柳!!」
颯くんの方が先にわたしの体を起こし、抱えて立ち上がると、呆然とする皆を退けて走り出した。
「小柳さっ──」
「どけ!さわんな!」
慌てる先生達の言葉を無視して、人ごみを払い、保健室まで突っ切っていく。
乱暴に保健室の扉を開け、驚く先生に何事か話すことなく、わたしをそっとベッドへ寝かせる。
いそいそと先生がこちらに小走りで来ると、先生は颯くんに尋ねた。
「どうしたの?何があったか聞かせて」
「階段から落ちたんだ。……小柳、頭は打ってねぇか?」
「……うん」
わたしの頭に手を添えて優しく聞いてくれる颯くんに頷けば、先生もわたしの顔を覗き込む。
「落ちたって、踏み外したの?痛いとこは?」
「はい。……不注意で。左足、がちょっと」
「足ね」
失礼、と言いながら先生に左足の靴と靴下を剥がされ、足首が軽く触られた瞬間──
「……いっ」
痛みが走り、顔を歪めたわたしに颯くんも反応して撫でてくれる。
「折れてはないけど捻挫ね。わりと重症かな……少し内出血してるし、まず冷やしましょう。後ちゃんと病院行くこと」