御曹司たちの溺愛レベル上昇中
慣れた手付きで応急処置として、保冷剤をビニールに入れて足のとこで固定してくれた。
「どうする?ほんとはすぐ早退させたいって言うのが正直な気持ちなんだけど……」
早退、か……。
帰るにしても、時間がかかる。
してもしなくても、せっかくの球技大会なんだし授業があるわけじゃないから。
「最後まで、せめて見学だけでも──」
「今すぐ病院だ」
わたしの言葉を遮って、止める間もなく颯くんは先生に告げると扉の方へ歩いていく。
「先生、俺も早退するんで担任に連絡頼みます。小柳、俺着替えと鞄取ってくるから待ってろ」
「ちょっと待って颯く──」
「わかったな」
反論は聞かない、と言う目に大人しく頷くしかなかった。
数分後、颯くんはわたしの荷物も一緒に戻ってきてくれて、先生の手を借りながら立ち上がる。
「歩けるか?」
「大丈夫。ゆっくりなら一人で歩けるよ。荷物ありがとう」
受け取ろうとしたけど、颯くんの顔に"持たせない"って書いてあるような気がして、手を引っ込めた。